投資用不動産を存分に活用しよう!

時代を超えた基本性能とは、具体的には、すぐれた耐震・耐久性、設備や内装の更新可能性、維持管理のしやすさ、時代のニーズへの対応可能性(たとえば情報通信の進歩への対応可能性など)、流行に左心されないデザイン、などをさす。
最近よく、六〇年住宅とか一〇〇年住宅などの広告を目にするようになったが、建物の耐久性はもとより、住み手のライフスタイルの変化に応じて、設備や内装の更新ができたり、情報インフラの進歩などに容易に対応できるようでないと、ほんとうの意味での長寿命住宅とは言えない。
構造的には六〇年、一〇〇年持っても、住み手が「これではもう使い勝手が悪すぎる」と思ってしまったら、機能的に寿命が尽きてしまう。
その点、いま最も注目されている長寿命住宅の方式が「SI住宅」だ。
「S」はスケルトンの頭文字で建物の構造躯体をさす。
「I」はインフィルの頭文字で内装や専用設備の部分をさす。
SI住宅とは、この躯体部分と内装や専用設備の部分を分離した住宅である。
なぜ分離するかと言えば、耐久性と可変性(ライフスタイルの変化への対応性)を実現するためだ。
SI住宅は一〇〇年の耐久性を前提にしている。
いち早く開発に取り組んだ都市基盤整備公団では、高強度のコンクリートで構造躯体をつくり、内装や設備機器は必要に応じて簡単に交換できるように、小梁をなくし、二重床、二重天丼にしている。
この中に給配水管やガス管、電気配線などを適す。
これらの配管、配線は自由に動かせるので、水まわりのレイアウトを変えるなど間取りの変更やリフォームも従来のマンションとは比べ物にならないくらいスムーズに行うことができる。
おかげで入居者は建て替えの心配をすることなく、安心して「永住」できる。
よく「八〇山でゆとりの永住タイプ」などという広告を目にするが、永住できるかどうかは、言うまでもなく広さではなくて、耐久性であり可変性である。
その点、くれぐれも販売会社の巧みな営業戦略に騙されないことだ。
SI住宅は、一九六〇年代にオランダで提唱され、三〇年近くたって、ようやく日本でも利用されるようになった手法だ。
最近では民間のマンションメーカーも取り入れているし、ハウスメーカーも一戸建ての商品開発にその考え方を採用するようになっている。
難点は、その高耐久性ゆえに建築コストが従来工法に比べて五~一〇%程度高くなることだ。
しかし、鞄でも洋服でも何でもそうだが、少々値段は張ってもいいモノは長く使えるから、結局はお買い得になるものだ。
家も同じように考えた方がいい。
一軒の住宅の寿命が尽きるまでの費用の合計をライフ・サイクル・コスト(LCC=建設費+維持管理費+光熱費+解体処分費)と言う。
ロングライフ住宅研究所の試算によると、寿命三〇年の住宅のLCCは約三七〇〇万円、寿命六〇年のそれは約五四〇〇万円。
一見すると短命住宅の方が安上がりに見えるが、それぞれ年間のLCCに計算し直すと、寿命三〇年では約一二〇万円、寿命六〇年では約九〇万円ですむ。
当たり前の話だが、長持ちする家に住んだ方が結局は安上がりなのだ。
マィホームを購入し、文字通りの「永住」を考えるのなら、多少割高でもSI住宅をお勧めする。
ついでに言えば、Sl住宅では、定期借地権を利用した「つくば方式」も注目に値する。
この方式は一番お金のかかる土地を購入せず、二〇年後に返す約束で、お金を借りてマンションを建てるため、通常のマンションの半値くらいの価格が実現する。
その代わり毎月地主に地代を払わなければいけないが、それでも通常のマンションに比べたらずっと安上がりだ。
地価の高い都市部でこそ威力を発揮する方式である。
入居者はインフィル部分の区分所有権を持ち、三〇年後に地主に貰い取ってもらう。
インフィル部分の使用権は残るので、その後は賃貸借契約に切り替わるが、売却代金と以後支払う家賃とを相殺するため、格安の賃料で賃貸暮らしが営める。
そして六〇年後にそのマンションは完全に地主のものになり、頑丈なスケルトン構造の良質な賃貸住宅へと移行する。
資産として子供に家を残したい人には何の値打ちもないが、都市部で良質な住環境を望む人にはローン負担も家賃の支払いも少ないこの方式は、かなり魅力的なのではないだろうか。
マイホームを担保に老後資金を借りる「リバースモーゲージ」がなかなか普及しないのは、地価下落もさることながら、担保になるような良質な建物をつくってこなかったからだ。
融資の担保になるのは土地だけだからマンションを持っていてもリバースモーゲージは利用できない。
リバースモーゲージは米国では老後資金の重要な調達手段の1つになっている(フランスには似たような制度で「ピアジェ」というのがある)。
これを日本も普及させたがっている。
それには土地担保に過度に依存しなくてもいいように、建物評価を上げないことには話にならない。
少子高齢化で財政事情は苦しくなるばかりだ。
国が必死になって中古市場を活性化したがっている理由の一つには、この制度を普及させて、「ほとんど収入はないが、家(マンション)ならある」というお年寄りには、なんとか自分の面倒は自分で見てほしいのである。
家を買う、買わない。
一生賃貸でいいか、どうか。
多くの人にとって「家」が人生最大のテーマの一つであるのは間違いないだろう。
一般には「家賃はドブに捨てるようなもの。
何も残らない家賃を払い続けるより仕宅ローンを払って自分の家を手に入れた方がトク。
一マイホームがあれば老後の住まいの心配もない」との意見が強い。
しかしこれは必ずしも正しいとは言えない。
買うのがトクか借りるのがトクかの試算は、いろいろあるけれど、結局、前提となる数値をどのように設定するかで、いくらでも慈意的に数字は作り出せる。
買った方がトクにしたければそうできるし、借りた方がトクだとしたければ、そうした結論が導き出せる。
そもそも試算というのはそういう性格のものだし、そのためにするようなものだと言ってもいい。
買うのがトクか借りるのがトクかのシミュレーションは、そのような視点で一歩引いて見ないといけない。
そのうえであえて言うのだが、この手のシミュレーションは、買った方がトクになるケースが圧倒的に多い。
一番笑えるのは、よくマンションの広告などに出ている試算だ。
二〇〇一年暮れ、S区T周辺の各家庭の郵便受けに立派な冊子タイプのマンション販売のパンフレットが投げ込まれた。
そこには同地区で、新築マンションを買うのと、同程度の賃貸マンションを借りるのとどちらかを比較していた。
返済と家賃だけを比較して、借りるより買う方がトクだと主張する。
あまりに大雑把すぎて笑いを通り越して呆れるしかない。
比較をするなら平均寿命の八〇年程度の生涯比較を試みないと意味がない。
まず頭金ゼロというのが凄い。
公庫融資が放り込まれたので、いまではこのような買い方はできないが、そもそも頭金を一銭も入れないような人に、この深刻なデフレの時代に四二〇〇万円もの大借金を背負わせようという、その神経が信じられない。
この販売会社は、それだけでロクな会社ではないと断じていいだろう。
ボーナス返済なしでの試算はよしとするが、毎月の管理費と修繕積立金、それに毎年の固定資産税が抜け落ちている。
さらには専有部分、つまり自分の部屋のリフォーム費用もまったく考慮されていない。

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